「おんなブルー」に込められた恩納村への思いと、職人としての心構え

先日嬉しいニュースが届きました。匠工房の新作「おんなブルー」が商工会特産品コンテストの最優秀賞に当たる県知事賞を受賞。 

今回「おんなブルー」について松田代表にインタビューをおこない、抱き続けている恩納村への思い、職人としての心構えが見えてきました。

「おんなブルー」が表現する海の姿

「おんなブルー」のデザインは、恩納村の海をイメージしたもの。

グラスの下部のエメラルドグリーンと上部のブルーの鮮やかな色づかいは、リーフから沖へ海の姿が変わっていくさまが表現されています。

裏地に使われている二種類の白いフリットは波の泡とビーチの砂を表現。

不透明の白は海中で舞い上がる砂を、透明な白はさざ波の泡を表現しています。不透明な白はあえて下だけに使ってます。

こういった裏地に白い泡を使う方法は他の工房ではなかなか見られない技法とのこと。

造形にも大きな特徴があります。グラスの下部は珊瑚礁のようにゴツゴツしたフォルムになっています。

この形状は持ちやすくなるというメリットもあり、さらに日本人の手に収まりやすいサイズになっているので、日々の生活でとても使いやすくなっています。

「おんなブルー」の制作工程を見学させていただきました。

隅々まで丁寧に片付けられた工房では、職人さんたちがきびきびと動き回っています。

炉で熱せられ高温で真っ赤になったガラス球にフリットを丁寧に貼り付け、息を吹き込んで形作っていきます。型にはめて形を整え、最後に松田さんが仕上げます。15分あまりで完成。

あまりにも早く出来上がるため、簡単そうに見えてしまいますが、「職人技の積み重ねがあるからあっという間に作れるようになる」と松田代表は自信を覗かせます。

商品の品質を一定にするためには重さをシビアに計ることも大切です。

「取材が来てたから少し緊張したかな」なんて言いつつもきっちり基準内の重量に調整、職人の技術力の高さに感心するばかりです。

恩納村への思い

松田さんはもともと恩納村でも漁業が盛んな地域の出身です。

「家から海が近く、屋根から釣りが出来たし夜はさざ波の音を聞きながら眠っていた。常に海を身近に感じながら生活していたよ」

村の魅力について質問すると「もちろん海です」と即答。

「遠浅で、サンゴ礁やイノーがある。リーフは沖縄独特で、他の地方ではなかなか見られない光景だよね。特に冬場の晴れて凪いでいる海はとてもきれい」

生活の一部だからこそ、海への思い入れも強いようです。

「恩納村ではサンゴ保全の一環でサンゴの植え付けをしてるんですよ。何かお手伝いできるのかなと思って、売り上げの一部を寄付しています。今の海がそのまま継続できる、逆にもっと綺麗になればいいかなという思いはありますね」

「恩納村への思いを日常に」をコンセプトとした「おんなブルー」。どういう風に使ってほしいかを聞いてみました。

「お酒や泡盛などに限定しないで、好きなドリンクを飲んでほしいね。

村に遊びに来てくれた方達が日々の暮らしの中で『恩納村楽しかったな、海がきれいだったな、今どうなってんだろう?』と、思いを馳せるきっかけになってほしい」

と、松田代表は答えます。

職人としての大切にしている要素

松田代表が職人として大切にしていることがあります。

「うちで掃除は12時、3時、6時って3回やる。他の工房だと一日1回とかじゃないかな。

工房の掃除だけでなく、自分たちが使っている道具もしっかり磨いている。それが当たり前だと思ってるし、ちゃんと工房を綺麗に掃除することがモノ作りの基本にあると思っている」

もう一つ大事にしていることがあります。それは、職人として常に進化し続けること。

「僕の考えなんですけど、技術の伸びしろは尽きないです。終わりと思えば終わりなんですよ。これ以上伸びもしないし、発展もしない。

僕はそうなりたくないし、うちの職人達にも常に言い続けています。飽きずに継続できる人が一番上等」

「色あいに関しては流行があって、時代のニーズに合わせることは進化に当てはまると思う。職人としては透明ベースで売りたい気持ちはある。けど、今までも流行を掴んできたからこそ進化し続け、様々な色で創作してきた。だからこれからも常に変化していくつもりです」

進化のきっかけは、意外なところから見つかることも。

「お客さんの一言や体験から生み出されたものもたくさんある。自分たちのノウハウ以上に感性があるお客さんもいるし、現代にマッチしてるなと僕は思っている」

松田さんの職人としての姿勢は匠工房の職人さんたちにもしっかり伝わっているようです。

「うちの職人達は工房のそうじも道具磨きも当たり前のようにやっていますよ。そして技術にしろ色使いにしろ、様々な挑戦をしています」

「うちには作れる技術があって、アレンジができて、作りたいものが作れる。様々な色やサイズの作品があることも今までに積み重ねてきた成果だと僕は思ってるし、これからも多分変わっていくでしょう」

色んなカラーや造形の作品があって華やかな印象の匠工房ですが、その裏には基本が徹底され、常に進化、変化していく意識が工房内に息づいています。

これからも魅力溢れる作品を世に出してくれるだろうと期待が膨らみます。

おんなブルーはオンラインショップにて販売

おんなブルーは匠工房や恩納村の道の駅である「おんなの駅」、そしてオンラインショップにて販売しています。

おんなブルーを手に取っていただき、恩納村への想いを感じ取っていただけると嬉しいです。

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