30代からのスタート、子育てとガラス職人を両立させる知花さんインタビュー

最新の技法や設備を取り入れ、琉球ガラスのパイオニアでありつづける「匠工房」。

工房に勤める職人さんには、どんな人がいるのでしょうか。

今回は、職人歴8年目を迎える知花静かさんにインタビュー。

ガラス職人を目指したきっかけや、この仕事の醍醐味、子育てとの両立に悩んだ時に社長から掛けられた言葉…

情熱を持つ職人の可能性を絶やさないという、匠工房のポリシーがそこにはありました。

【30代で職人の道に閃きで飛び込んだ!】

ガラス職人になる前は、主に観光施設でパフォーマンスをする仕事をしていました。小さい頃からエイサーや舞踊などの琉球芸能をやっていて、職人になった今でもたまにステージに立たせてもらっています。

転機が訪れたのは、32歳の時でした。ガラス職人募集の求人広告を見て、今までと違うことにチャレンジしたいと思ったんです。元々ものづくりが好きなので、インスピレーションで飛び込むことに決めちゃいました。

─30代からのスタートに不安はありませんでしたか?

実は別の工房も受けていたんですが、年齢を理由に落ちてしまって。匠工房でもダメだったら諦めないといけないかなと思っていたんですが、年齢は関係なく採用してもらいました。

何歳から始めても、結局は積み重ねていく毎日。教えられたからってすぐに出来るようになるわけではないので、いかにガラスを触って感覚を覚えるか。ラクな道ではないですけど、それが楽しいですね。

─工房の雰囲気はいかがですか?

お互い支え合っているのが感じられる良い雰囲気です。

よく先輩方からお気遣いの声掛けを頂くこともありますし、私が練習をしていると休憩時間にも関わらず隣でアドバイスをしてくれます。ひとつの方法だけでなく、バリエーションのある作り方を色々と教えてもらえるので、だいぶ助けられています。

─成長していく手ごたえはどの場面で感じますか

最初はカレット並べ、生地巻き、玉取り…しっかりと段階を踏んで次のステップに進めます。かと言って、工程の一つひとつにゴールは無いので常に極める気持ちでいます。日々の連続で出来ることが増えていく感じです。

【子育てとの両立の悩みを吹き飛ばしてくれた社長の言葉】

─職人の道を進む中で、悩んだことはありませんでしたか?

職人でありながらも3人の子どもの親でもあるので、部活の同伴などがあって、週末に仕事に出られなくなってしまって・・・

体験のお客さまはやはり週末に多く訪れますので、他の職人のみなさんに迷惑が掛かると思って続けるのを諦めた時期があったんです。

辞めざるを得ない気持ちで、それを社長に伝えると「あなたはどうしたいの?」って訊いてくれて。それで率直に「本当は職人を続けたい」という旨をお伝えしたら「工房はみんなで回せるけど母ちゃんはひとりだから頑張りなさいよ~。周りにはこっちから伝えておくからガラス職人も続けていけるようにしようね」って言ってくれて。

仕事もプライベートも、周りのみなさんの協力のおかげで楽しく両立できています。

─知花さん…込み上げて来るものもありますよね

「知花さんだけじゃなくて、これから先みんなにあることだから。今後の匠工房にとっても必要なことだから、これも一つのきっかけだね」って。

やりたいのに続けれない環境って誰しもあると思うんですよ。今回は私がそうかなと覚悟していた分、気持ちを汲み取ってくれて今もこの仕事が続けられていることに感謝です。

【職人としての今後のビジョン】

─これからの目標は何でしょうか

これは志した当初から変わらずに持っているものなんですけど「出来ることを増やしていく」ですかね。

出来ないことはまだまだ多いです。ガラス作りはずっと修行です!

─ガラス職人の喜びは何ですか

また、ガラス作り体験に来てくれたお客さんがリピートで来てくれて「一緒に作ったグラスを今もずっと使ってるんですよ~」って言ってもらえた時は嬉しかったですね。それと、お子さんが体験を終えた後にありがとうってハグしてくれたり!

─これはかわいいですねー!

ガラス職人として技を極める喜びもあれば、お客さんとの交流にもやりがいを感じます!

【まだ見ぬ後輩のあなたへメッセージ】

─この世界に飛び込んだ8年前の自分に何と伝えたいですか?

匠工房に来て正解!って言いたいです(笑)

─どういう方に職人を志して、匠工房に来てもらいたいですか?

伝統工芸やものづくりの楽しさを繋げていきたいという想いがあるので、何かチャレンジしてみたいことがある人はぜひ来て欲しいです。

ガラス作りは過程ひとつで色がどんどん変化していって、作品が出来上がっていく感動を味わえる。これは是非みなさんにも味わってもらいたいです。